有料のIQテストなら信頼できるのか?【国際IQテスト検証】

雑学
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ネット上に沢山転がっているIQテスト。

この記事にたどり着いたあなたも一度はチャレンジしたことがあるのでは?

一度チャレンジした人なら必ず抱くであろう疑問は、
「このテストはどれくらい信じていいんだろう?」
というモノだと思います。

普通にIQ150とか出てきますからね。

でも、今回取り上げるIQテストは一味違う………かも知れません。

というのも、このテスト「国際IQテスト」は有料(600円弱)なのです

今回の記事は、このテストの結果が信頼できるのかについて検証してみたものです。
大学で習った統計の知識を存分に()活かして検証に取り組みました。

検証に至るまでの流れ

テストの検証に至るまでの過程を時系列順に並べて書いていきます。

問題を解く

そのテストは40問で、問題の内容は以下のようなもの。


並んでいる図形に規則性を見つけて、抜けているものを選択するというタイプです。

他にも数列や計算系の問題もありました。
それぞれ1問ずつくらいだったかな。

それも大きな括りでいうと、規則性の問題に含まれそうなものでした。

解くのには結構な時間をかけましたね。
少なくとも1時間は費やしたと思います。

終わったときに有料と告げられる

やっと終了というとき、
「結果を確認するには5ユーロ支払ってください」
と言われました。

「そうくるか………」
思わずため息をつきました。

よく考えられたタイミングです。

テストを始める前に有料だと言ってしまうと、
テストを解くことをやめてしまうかも知れません。

でも、テストが終わったタイミングなら、
それまでにかけた労力と時間を惜しんでお金を払ってしまう人が多いでしょう。

支払い方法はPayPalか、クレジットカードか。

手軽に支払えてしまうところも憎い。


ネットで調べてみた

このテストに費やした脳みその活動量と時間は無駄にしたくありませんでしたが、
得られる結果がお粗末なモノでも困ります。

さらに言うと、詐欺だったら最悪です。

結果を見るために料金を支払うかどうか。
迷ったぼくは、このテストについての情報をググってみることにしました。

しかし、検索の上位にはテストの信頼性についての記事が出てきません。

辛うじて分かったのは、どうやらお金を支払わされるだけではなさそうだということくらい。

こうなったら疑わしきは罰せずの精神で行こうと、
ぼくはこのテストを信じてみることにしました。

5ユーロという価格設定も高く感じられなかったことも、
その判断の一因になったのかも。

これを振り返って思ったのは、自分は詐欺に遭うと、
簡単にお金を払ってしまうのかも知れないなぁということでした。


怪しげな結果

そうして結果を確認したところ、136ということ。

my iq score

これは全人口の上位1%に入っているとも書かれていました。

それらがあまりに信じがたかったので、IQの分布を調べてみました。
すると、分布表をまとめてくださっているサイトにたどり着きました。

筆者さん、ありがとうございます。
(参考: 別冊:知能指数(標準偏差15,16,24換算表)と出現率をエクセルでまとめてみた。

それによると、136というスコアは全人口の上位0.82%に相当するらしいです。


検証開始

その結果を得たところで、ぼくはこのテストの疑い始めました。

だって、上位0.82%ですよ。

そんなに自分の頭がいいと感じたことはこれまでの人生の中で1度もありません。
どう考えてもおかしい。

もし本当にこれだけ上位にいるなら、大学受験はもっと楽だったはず。

そこで、検証してみることにしました。

検証で主にターゲットとするのは、

・平均が100であるか

・分布が適切であるか

この2点とします。

この2点が満たされれば、テストの結果は信頼してよいでしょう。

検証ステップ1:データを集めまくる

まずはデータを集めないと何も始まらないと思い、
このテストを受けた他の方の結果を集めまくりました。

用いたのは「スクレイピング」という手法です。
ぼくはプログラミングに関してはど素人なので、
このステップがかなり大変でした。

それでも何とか、3000個ほどのデータを集めることができました。

疲れた………。

頑張って調べて書いたコードをお披露目したい気持ちもありますが、
記事が長くなるし、趣旨とは違ってくるので、ここでは割愛します。


検証ステップ2:分布をグラフにおこす

データが集まってくると、分布が知りたくなってきました。

分布を視覚的に確認するにはグラフが1番なので、グラフを利用します。

この棒ブラフでは、横軸にIQのスコアを示し、
縦軸にはそれぞれのIQスコアを取った人の数を示しています。

例えば、IQ100の人は104名いるといった感じです。

こうしてグラフにしてみた時点で既に怪しいにおいがプンプンしてきましたが、
念のためにさらに検証を進めていきます。


検証ステップ3:平均と標準偏差を求める

それから、スコアの平均と標準偏差を求めました。

データの分析と言えば平均と標準偏差ですからね。

そうして求めた平均は110.2、標準偏差は16.3。

標準偏差については特に言うことはありませんが、
平均についてはちょっと物申さねばならないかもしれません。
IQというものは、平均値が100になっていないといけない指標ですからね。

ここでは詳細は省きますが、これだけサンプル数が大きくなると、
得られた平均が大きく間違っているということはありえないのです。
(大学の統計の授業で習う「中心極限定理」より)

今回の結果が偶々得られたもので、
本当は平均が100であるというケースも考えられないことはないのですが、
それはほぼほぼ0%と言って問題ないくらい小さな可能性しかありません。



検証ステップ4:正規分布に従っているかを確認

次のステップは、正規分布に従っているかの確認作業です。

IQは正規分布と呼ばれる分布に従っているといわれています。

その意味を感覚的に言えば、普通の人が一番多くて、
そこから外れる度合いが大きい人の数は少ないということですね。

したがって、データが正規分布にうまく合っていれば、
このIQテストの結果の信頼性が上がります。

IQテストの結果と理想的な正規分布は一致するのでしょうか?

IQの分布として理想的な正規分布と今回のデータを重ねて表示してみたのが上の図です
かなり違っているのが視覚的にはっきりと見て取れるはず。

ただ、この程度の確認作業で終わっていると検証としては不十分なので、
別の方法を使って調べてみようと思います。

そこで用いた方法は「検定」という方法です。

「検定」という言葉を初めて聞くという方は、「ある主張が信頼できるかを数学的に確かめる方法」のことだと思ってください。

あるデータが正規分布に従うかどうかを調べる検定は色々とあるようなのですが、
ここではシャピロ・ウィルク検定およびアンダーソン・ダーリング検定を用いてみようと思います

シャピロ・ウィルクとか名前がかっこよくないですか?

え?
そんなのはどうでもいいから結果を教えろ?

確かにどうでもいいですね。
本題に戻ります。

この「検定」というモノなのですが、
とても手作業でできるものではありません。

そこで、統計解析ツールを使うことにしました。
今回使ったのは、EZRというモノです。

これによって検定を行った結果、
テストのスコアが正規分布に従っている可能性は10の-16乗というスケールであると導かれました。

めちゃくちゃ小さいですね。

別の尺度で言うなら、自分の乗った飛行機が4、5回連続で墜落する可能性と同じくらい小さい、とも表現できます。

何が言いたいかというと、
つまり、今回のIQテストのスコアは正規分布に従っていないということです。



考察

検証結果をまとめます。


国際IQテストのスコアの平均は110.2である
 これがたまたま得られた数値であって、本当は平均値が100であるという可能性もなきにしもあらずだが、その可能性はかなり小さい。

国際IQスコアの分布は正規分布に従っていない
 これがたまたま得られた結果であって、本当は正規分布に従っている可能性もなきにしもあらずだが、その可能性はかなり小さい。

ここから考えるに、このIQテストの結果は信用するのが難しいと言えるでしょう。

平均がずれているだけなら、まだいいのです。

わざわざ時間を使ってテストを受け、
さらには600円くらい払おうと考える人は、
比較的教育レベルの高い層である可能性が高いです。

その影響で平均が上側にずれ込んでいくのは理解できますから。

だけど、それに加えて分布がめちゃくちゃになるというのは考えにくいです。
母集団のレベルが高くなれば、
それに応じて山が右側にずれた正規分布になるはず。

結果はそうはなっていません。

120以上という高いスコアが多すぎるだけではなくて、100付近でガタガタになっているのも気になります。

ここからは想像になるので、話半分に聞いてください。

恐らくこういう手のテストでは、IQ算出の手順は以下のような流れだと思います。

1.一旦テストの点数算出

2.テストの点数をデータに照らし合わせる

3.テストの点数をIQに換算

3のステップでは、テストについて独自な換算システムを用いるのでしょう。

IQ120以上の高いスコアが出やすくなっていたり、
スコアに偏りがでているのは、この一連の流れに問題があるからだと思われます。

1のステップで既に不適切な評価になっていて、
さらに3のステップで不正確さが増している。

そんな気がします。


結論

色々書いてきましたが、ぼくなりの結論をここにまとめようと思います。

検証の結果は、「このテストの結果は信用しにくい」となりました。平均がずれているし、分布にも問題ありです。

自分が全体の上位1%に入っているなんて変だと思ったら、
やっぱりその通りでした。

テストの結果から計算すると、ぼく(このテストによると、IQ136)は全体の上位4~5%ほどにいることになりますね。


結果の信頼性はイマイチという結果になりましたが、その他にも問題はあるのかなと思うところがあります。

その問題というのは、IQという概念自体に関することです。Intelligence Quotient(知能指数)といいますが、テストで聞かれることはパズルの問題ばかり。

このテストで測れる能力というと、パズルの能力くらいでしょうか。

きちんとしたIQテストならまだ一定程度の科学的価値はありそうですが、
この程度のものだと、遊びの一環として考えるのが適切なのでしょうね。


ここまでテストについて沢山のダメ出しを重ねてきましたが、
妥当なIQを算出することと手軽なテストを設計することの両立が難しいのは想像できます。

このテストの実施団体も頑張っているのかも知れません。

テストについて悪口ばかり言ってきたので、最後にいいところも書いておきます。

良かったのは、問題が面白かった点です。

少なくとも自分が受けたことのある無料のIQテストの問題よりは、
数倍に面白く、解きごたえがあった印象でした。




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